過敏性腸症候群?と執拗な訴え|産婦人科コラム

過敏性腸症候群?と執拗な訴え

2012年02月08日
 

『73歳Nさん。過敏性腸症候群にて他院通院歴あり。便秘の薬をいろいろ試したが思わしくないようで、最近は便は非常に硬く、西洋薬の下剤を使ってひどい下痢になったとの事。漢方薬を希望して来院。』

高齢者で便が硬いとの事で、『麻子仁丸(マシニンガン)』を2週間処方しました。1ヶ月後に来院し、「薬を飲んでいた時は良かったが、切れるとまた便が出なくなる。」

きちんと飲み続けてくれればいいのに(苦笑)と思いながら、同じく1ヶ月処方しました。今度は「最初は良かったが、便が出た後に全身の力が抜けてしまう。しかも、げっぷがやたらと出るようになったので、別の薬に変えてほしい。」との事。

たしかにお腹にガスが溜まっているようなので、『大建中湯(ダイケンチュウトウ)』に変えてみました。しばらく、2ヶ月位は調子が良かったようですが、また排便後の脱力感を訴え、「ガスもとても多くなってきたので薬を変えてほしい。」と来院。

その後もいろいろと併用する薬を変えましたが、最初の1~2ヶ月は良いのですが、その後悪くなることを繰り返しました。

初診から1年ほど過ぎたころ、『大建中湯』に『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』を加えてみたところ、「これまでで最も調子がよい。」との事。その後4ヶ月以上経過していますが、薬を変えてほしいという訴えはなくなりました。

薬を変えるとしばらく良いのですが、1~2ヶ月経つと、前よりずっと悪くなると言われ、振り回された感がありました。しかし、このような執拗な訴えも東洋医学的には『加味逍遥散』が有効なことが多いのに、なかなかそちらに思いがいかなかったのは、私がまだまだ漢方医として未熟なせいでしょう。気がつくと1年半、Nさんの方も、私に見切りをつけずによく長い間来られたものと感服いたしました。

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