ストレスを乗り切る①|産婦人科コラム

ストレスを乗り切る①

2010年05月06日
 

『25歳Mさん女性。学生時代から苦にならない程度の月経痛あり。仕事を始めてから対人関係のストレスも強く、また職場の室温が異常に低く、冷えて月経痛も強くなった。
特に月経2日前~開始2日目まで腰痛や下腹痛が強く、全身にむくみが出る。胃がむかむかして食べたくない。人ごみでは気持ち悪くなる。突き上げるように吐き気がして、生唾が出てくる。3ヶ月間で体重は48㎏から45㎏にやせた。最近は手足の冷えが気になり、睡眠も不良。食欲もなく無理して食べているとの事。漢方治療を希望して来院。』

ストレスという言葉は漢方医学にはありません。
しかし、ストレスとからだの変調との関係については東洋医学では独特の考え方にもとづいて古くから取り組んできました。

いつもお話しているように身体の状態(証)を捉えることが大切です。例えば、胃腸が丈夫である、疲れやすい、華奢な体格など細かい要素を考えて適切な処方を決定します。

Mさんは「冷え・むくみ」の症状のみから考慮すると、前回お話した『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』が有効と一見思われるのですが、新陳代謝が衰えて冷えが著しい状態になっているうえに、生唾が止まらない(東洋医学では「喜唾(キダ)」といいます)点に注目して、まず「人参」が含まれている『人参湯(ニンジントウ)』を処方してみました。

4週間後、生唾も出なくなり、食欲も出できたようなので、もう一ヶ月飲んでもらうことにしました。その後の月経痛は一進一退であるものの、軽くなっているようでした。むくみはほとんどなく、人混みに出ても悪心は起こらなくなったとの事です。

ストレスによって起こる症状はいろいろであり一律に述べることはできません。長期間になる可能性も大きいです。

Mさんのように一度消化器症状を呈してしまった方はこちらを立て直す必要があります。「急がば回れ」ではないのですが、目先の「冷え」よりも「生唾」を伴う食欲不振が今回のキーワードです。

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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