アトピー性皮膚炎を漢方薬で治す(1)|産婦人科コラム

アトピー性皮膚炎を漢方薬で治す(1)

2007年09月18日
 

『28歳Sさん。2歳からアトピー性皮膚炎で26年間悩まされてきた女性で、いくつもの皮膚科を渡り歩き、いろいろな民間療法も試してみましたが、満足のいく結果は得られなかったようです。学生時代は比較的よかったのですが、働き始めてここ数年間は悪化して、体中が痒くて眠れないとの事。』

Sさんの皮膚は以前はジクジクしていつも顔にはかさぶたができていて、ステロイド軟膏を使うようになってから治まるようになったものの、今度はカサカサになってしまいました。つまり、元々はジクジクしてかさぶたが出来やすく、皮膚が赤く熱感をもつタイプのようでした。

ステロイド軟膏を使っていると本来の皮膚の状態がわからなくなってしまうので、このように使う前の状態を聞くのは漢方薬を選ぶときにはとても大事な情報になります。

Sさんには、ジクジクをとるために『消風散(ショウフウサン)』、熱を冷ますために『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』を合わせて処方しました。この薬を飲んで2週間で何となくジクジク感は無くなってきたものの効果がはっきり出てきたのは約2ヶ月後でした。Sさん曰く「先月からステロイド軟膏を止めているんです。最近は表面に自分の皮膚ができてきた感じがします。お風呂にはいるとまだ真っ赤になりますけど、ポロポロと皮がむけることが無くなって、痒み止めも使わなくてすんでいます。」との事。

保湿のために使っていたワセリン軟膏は半年で不要になり、夏場に汗で少し痒みが出たものの、十ヶ月で目の周りに軽い色素沈着を残すだけに改善しました。仕上げには体力を補う『補中益気湯(ホチュウエッキトウ)』という薬に変えて、半年後にはすべての薬を中止しました。

「ジクジクタイプ」と「カサカサタイプ」では、漢方薬の処方も変わります。Sさんは前者のタイプで湿気の多い夏場には悪化することが多いようです。今のところSさんは来院してないですが、今年の夏はうまくしのげたのでしょうか?

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