病は「気」から?(その3)|産婦人科コラム

病は「気」から?(その3)

2005年09月16日
 

今回も症例を紹介しながら解説します。

『18歳、Cさん、女性。大学入試の準備中。年末あたりから夜になると落ち着かず、勉強にも集中できない。本人も原因は入試に関する不安感であると自覚している。お母さんが心配して一緒に来院、生理も不順との事。』

前回お話した「気の異常」の3つのとらえ方(「不安」「あせり」「イライラ」)で考えると、この方のキーワードは『不安感』です。このような場合は、甘い生薬が漢方医的には効果的です。

一般的に、甘いものは気持ちを安らぐ作用があります。甘いココアで子供が寝付くというのもこの作用<によるのものですね。

Cさんには、酸棗仁湯[サンソウニントウ]を処方しましたが、甘くて飲みやすく1週間後には気分が落ち着いてきたと喜んで来院しました。「甘いものでごまかされるなんて、子供だましじゃあるまいし」と思われる方がいらっしゃるでしょう。現に私自身も最初はそう感じていましたから。

しかしながら、有効であるのは事実です。

酸棗仁湯[サンソウニントウ]は、基本的には不眠に対して使うことが多いのですが、睡眠薬とは違いますから、不安を取り除いた結果として眠れるようになるわけです。

つまり、眠れないから使うのではなく、不安に対して使う薬なんです。となると、イライラが原因の不眠の方に処方して効かない?当たり前です。不眠の原因を考えないと漢方薬は有効ではありません。ですから、患者さんのお話をよく聞く必要があるのですね。

個人的には、受験の合格発表の前や癌かもしれない検査結果の前などの不安が強いときには、この薬はまさにうってつけだと思っています。気の弱い私?も不安が強くて寝つきが悪そうなときはこの漢方薬を寝る前に2包飲んでみます。

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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