アレルギー性鼻炎と漢方薬|産婦人科コラム

アレルギー性鼻炎と漢方薬

2014年07月10日
 

『51歳Mさん。2年前からくしゃみ・鼻水で悩まされ、耳鼻科でも抗ヒスタミン剤を含めていろいろ処方されるも、なかなか改善しない。漢方薬をためしてみたいとの事で 当院に来院』

Mさんは、普段からマスクを片時もはずせないようでした。まずはアレルギー性鼻炎の第一選択薬『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』を飲んでもらいましたが、あまり有効ではありません。

そこで、『越婢加朮湯(エッピカジュツトウ)』に切り替えました。こちらは、飲むと頭が痛くなってきたそうですが、鼻の症状は飲むたび楽になってきたとの事でした。1週間でマスクを外せる状態になり、3週間で1度休薬しました。その後は、1年位経過してから症状が再燃して薬を取りに来られましたが、同じ薬で軽快しています。

『小青竜湯』はアレルギー性鼻炎によく用いる漢方薬ですが、「麻黄(マオウ)」という生薬が含まれていますので、飲んで「動悸・胃もたれ」が強くでるような方には適応でないこともあります。その場合は、「麻黄」が含まれていない『苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)』を用いることがあります。季節限定で症状がでるのであれば、どちらかというと『小青竜湯』、季節に関係ない場合(ハウスダストなど)は『苓甘姜味辛夏仁湯』というのも一つの使いわけと思われます。

Mさんのように、炎症がかなり強いと思われるケースには、『越婢加朮湯』を使うことがあります。耳鼻科で漢方薬を頻用される先生のお話では、鼻粘膜の腫れが強く、赤みが入っている場合にはこちらが良いとの事でした。

いずれにせよ、効くかどうかは飲んでもらうと30分位後に鼻のつまりなどがとれるかどうかで判定できます。 こういった「試服」は重要で、急性疾患や患者さん本人が苦痛な場合は、短時間で改善反応を確認することができます。つまり漢方医学的に「証(ショウ)」(詳しくは以前の号)が合っているかどうかの判定につながるわけです。

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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