モチと食養生|産婦人科コラム

モチと食養生

2015年01月05日
 

モチは正月に主婦をご飯炊きから解放するための保存食としての一面と、新年にあたり前年の大地の恵みを神々にお供えして今年の豊作と多幸を祈念するという宗教的な一面とがあるようです。

食品の成分からみると、モチはほとんど炭水化物と水だけでできているので、働きの上ではモチは水分代謝と糖質代謝に影響を及ぼすことが分かっています。

水分代謝に関しては、水分を身体の中にとどめる作用があるので、食べ過ぎると身体に余分な水分が残って、漢方でいう「水毒(スイドク)」の症状として手足や顔のむくみや身体のだるさ・眠気などを引き起こす可能性があります。ですから、リウマチや神経痛のある方、腎臓の悪い方はモチの食べ過ぎで病気が治りにくくなったりすることがありますし、喘息やアレルギー性鼻炎の方は鼻水・鼻づまりや咳・痰が増えて症状が悪化する恐れがあります。特に子供は体内の水分含有量が多く、滲出性体質の人が多いので、あまりたくさん食べさせるのは要注意です。

次に糖質代謝に及ぼす影響ですが、成分的にもモチは糖分が豊富なので適量食べる分には元気をつけますが、過食になるとビタミンの少ないことも手伝って正常な糖分の代謝を妨げ、身体を酸性に傾かせます。その結果、肩こり・神経痛・疲労増強・抵抗力の減退・不眠・イライラなどを引き起こしてきます。

モチを食べ過ぎると、おできや吹き出物ができやすいという事は古くから知られていますが、これは糖代謝が損なわれて有害な物質が体内に産生されるのと、「水毒」を起こして皮膚の表面に余分な水分がジクジクと滲み出してくるためと考えられます。昔の中国の医書には、モチ米の効用の後に、決して多く食したり久しく食してはいけないことと、水毒体質や神経痛や麻痺のある人は要注意で、子供には量を少なくと注意書きしてあります。

正月料理のメインである雑煮は、ほとんど炭水化物と水分だけというモチの欠点をカバーして、魚や鶏肉で蛋白質を補い、野菜を豊富に入れてアルカリ性にし、ビタミンを補っているので、ある意味では大変合理的な食べ物に仕上がっています。また、おしるこは利尿作用をもつアズキと水分を保持するモチとの組み合わせとしては大変良いのですが、あまり砂糖を入れすぎるとせっかくの効用が損なわれてしまいます。

正月にはモチの効用を損なわない食仕方をしてはいかがでしょうか。

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