鼻炎に小青竜湯プラス|産婦人科コラム

鼻炎に小青竜湯プラス

2016年05月02日
 

『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』は花粉症などのアレルギー性鼻炎や鼻かぜに多用される漢方薬で有名ですが、鼻の症状でも鼻づまりよりは鼻汁がひどく、特に透明でサラサラとした鼻汁でくしゃみを伴う場合に有効です。抗ヒスタミン剤で有効性が得られない場合やその副作用で悩まされている場合には、漢方薬も治療の選択肢の一つに成り得るでしょう。

しかしながら、『小青竜湯』を使用してもあまり効果の実感が得られない場合には、薬の量を増量するのも一つの手ですが、さらに別の漢方薬をプラスする(「合法」といいます)手法があります。

『小青竜湯』が無効のアレルギー性鼻炎には、さらに『麻黄附子細辛湯(マオウブシサイシントウ)』を加えて飲んでもらうことがあります。それでも効果が得られない場合やめまいやふらつきがある方には「水毒(スイドク)」(詳しく以前の号)を改善する目的で『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』もさらに加えて飲んでもらいます。

『苓桂朮甘湯』は単独でも鼻炎に効きますが、鼻粘膜の炎症がひどく水のような鼻汁が漏れ出るようなタイプには特に有効です。

以前に、幼児期からの喘息がある方で発作のパターンはくしゃみから始まり痰がからんで咳き込み喘鳴呼吸困難を呈し、鼻閉、目のふちが赤く痒く、湿疹や腹痛も多いという症状に対して漢方薬の希望があったので『小青竜湯』『麻黄附子細辛湯』の合法を用いて著効したケースを経験したことがあります。

先日、私自身出先で鼻かぜをひいてしまい、手元に抗ヒスタミン剤しかなく内服したのですが、いつもなら軽快するのが数日長引き、抗ヒスタミン剤を飲むと余計に鼻汁がひどくなる始末で、病院に戻ってからは鼻汁と鼻閉の両方に悩まされたので、『小青竜湯』に『葛根湯加川芎辛夷(カッコントウカセンキュウシンイ)』を加えるという荒業?で症状がその日のうちに改善しました。

『小青竜湯』は『葛根湯』と同様に「麻黄(マオウ)」という生薬が含まれるため、胃腸障害が出やすい方もいらっしゃいます。その場合は『小青竜湯』の通称裏処方とも云われる『苓甘姜味辛夏仁湯(リョウカンキョウミシンゲニントウ)』という「麻黄」が含まれない漢方薬をお勧めします。

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