更年期のめまい発作|産婦人科コラム

更年期のめまい発作

2017年03月30日
 

『47歳Gさん。1年位前より特に誘因なくめまいが出現。ぐるぐる回るようなめまいで、一度回ると一日中船酔い状態で、気持ちが悪くなり吐くこともある。ひどいときは近医で点滴治療を受けて改善。軽い時は横になって一晩休むと回復する。耳鼻科で精査し、著明な異常なく「良性発作性めまい症」と診断され、投薬されて服用するも効果が得られず、当院受診。』

回転性のめまいなので、頻用される『苓桂朮甘湯(リョウケイジュツカントウ)』を処方しましたが、やや軽快はするものの十分な効果は得られませんでした。月経の周期は不規則であり、めまいの発作がよく出現するパターンは、①ストレスを感じてイライラする時、②不規則な月経の前後、③夏場の暑い日、冬場の室内で暖房が強い時、などでした。

「気」や「血」の異常の関わりが認められるため、それに伴う「水毒」によるめまいも考慮して、『加味逍遥散(カミショウヨウサン)』に変更してみました。3週間後、生理前後のめまい発作が軽くなり、発作が数時間で消えるとの事でした。継続して飲んでもらったところ、最近はイライラも良くなったようでした。その後は普段、朝一回のみ内服してもらい、生理前後にめまい感があるときは、2~3回頓用してもらっています。

一般的に、めまいは脳の血流低下や、様々な精神症状によって起きる、女性に多くみられる症状です。Gさんのめまいは、前述の①や②のパターンに注目すると、更年期障害に関連していると思われます。更年期障害には様々な漢方薬が処方されますが、Gさんにはストレスを感じてイライラする時によく処方される『加味逍遥散』を用いました。

漢方薬の処方は、有効性の程度に応じて、薬を変更していくことが重要です。今回は更年期障害に伴うめまいという点ではまさに「木を見て森を見ず」ということが実感させられた症例でした。

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医療法人社団 公和会 中村記念愛成病院
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