COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ|お知らせ

COVID-19 ワクチン接種を考慮する妊婦さんならびに妊娠を希望する方へ

2021年05月12日
 

2021年 2 月からわが国でもCOVID-19 ワクチン接種が始まりました。COVID-19感染患者さんに接する医療従事者や重症化リスクの高い高齢者が優先的に接種を受けていますが、今後希望するすべての国⺠に接種が始まります。政府はすべての方に、無償で接種を行う方針で進めています。

COVID-19のパンデミックが昨年に始まり、およそ半年という極めて短い時間にワクチン開発が行われたために、まだ⻑期間にわたる有効性や安全性に関する臨床データの集積はありません。ただし、大規模な接種を始めたイスラエルや英国では、新規感染者、重症者、死亡者のすべてで激減しています。副反応の一つであるアナフィラキシーを含むアレルギーの頻度は、米国におけるファイザー製ワクチン治験時には0.0011%とされています。現在までのわが国の接種では、局所の疼痛・腫脹、頭痛、疲労、悪寒、筋肉痛、関節痛、下痢、発熱などの症状が1−2日続くとする報告はありますが、致命的な副反応は報告されていません。mRNAが接種を受けた方の遺伝子に組み込まれるとか、接種を受けた方が有害な物質を産生するといった事実はありません。

さらに、接種後に感染しやすくなるという事実もありません。しかし、2回の接種を受けて1−2週間以上たたないと抗体は十分に誘導されず、また変異したウイルスには効果が十分でない可能性もありますので、引き続き三密回避やマスク着用は必要です。

現時点では、妊婦さんに対する接種について十分な知見がなく、各国で見解が分かれていますが、世界的な流行拡大と妊婦の一部で重症化することから積極的に接種をすべきという考え方が大勢を占めています。米国のACIP(ワクチン接種に関する諮問委員会)は、妊婦を除外すべきではないとしていましたが、CDCは本年4月24日、十分な情報を得た個人の選択ではあるが、妊婦への接種を推奨するとしていますiii。英国では当初妊婦中の接種を積極的には推奨していませんでしたが、接種のリスクよりも感染のリスクが大きいことから、希望者には接種をためらうべきでないとしています。

また、COVID-19 mRNAワクチンの生殖に関する研究はまだ完了していませんが、現時点で胎児や胎盤に毒性があるとかワクチン接種を受けた人が不妊になるといった報告はありません。しかしながら、中・⻑期的な副反応については、今後も情報を収集する必要があります。日本産婦人科感染症学会および日本産科婦人科学会として、現状において以下の提言をします。

  1. COVID-19 ワクチンは、現時点で妊婦に対して短期的安全性を示す情報が出つつあるが、中・⻑期的な副反応や胎児および出生児への安全性に関しては今後の情報収集が必要である。現時点では世界的に接種のメリットがリスクを上回ると考えられる。
  2. 流行拡大の現状を踏まえて、妊婦を ワクチン接種対象から除外しない。特に人口当たりの感染者が多い地域では積極的な接種を考慮する。接種する場合には、産婦人科医は被接種者に、⻑期的な副反応は不明で、胎児および出生児への安全性は確立していないことを事前に十分に説明する。同意を得た上で接種し、その後30 分は院内で経過観察する。現時点でmRNAワクチンには催奇性や胎児胎盤障害を起こすという報告は無いが、器官形成期(妊娠12週まで)は、偶発的な胎児異常の発生との識別に関する混乱を招く恐れがあるため、ワクチン接種を避ける。妊婦には母児管理のできる産婦人科施設などでワクチンを接種する事が望ましく、なるべく接種前後に超音波やドップラー検査などで胎児心拍を確認する。直前検査が難しい集団接種や、産科のない診療所などで接種する場合、接種前後1週間以内に妊婦健診を受診するように促す。また,接種後に腹痛や出血、胎動減少などの症状があればすぐに産科を受診するように指示する。
  3. 妊婦さんならびに妊娠を希望する方で、感染リスクが高い医療従事者、保健介護従事者、重症化リスクが高い肥満や糖尿病など基礎疾患を合併している場合は、ワクチン接種を積極的に考慮する。
  4. 妊婦のパートナーは、家庭内での感染を防ぐために、ワクチン接種を考慮する。
  5. 妊娠を希望される女性は、可能であれば妊娠する前に接種を受けるようにする。( 生 ワクチンではないので、接種後⻑期の避妊は必要ない。)


患者さん一人一人の背景が違いますので、まずは産婦人科の主治医と十分にご相談ください。

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