冷え性と漢方薬(1)|産婦人科コラム

冷え性と漢方薬(1)

2007年12月10日
 

『23歳Fさん。やせ型の色白な方で、これからの季節は特に手足が冷たく、寒いとお腹まで痛くなり、指先なんかは氷みたいになるとの事。以前は当帰芍薬散を処方されましたがあまり改善されなかったようです。どういう漢方薬が良いのかご相談に来院されました。』

Fさんが処方された『当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)』は「婦人の聖薬」という別名があるくらいに有名な漢方薬です。たしかにこの方は色白で古人のいう「芍薬美人」タイプで、いかにも『当帰芍薬散』が効きそうな印象を受けました。でも、以前飲んでイマイチだったとの事。

そこで手足の冷えに有効な生薬の「附子(ブシ)」が含まれる生薬で、水をさばく利水剤も含む『真武湯(シンブトウ)』を飲んでもらうことにしました。

2週間後は「少し、前よりは暖かい感じはします。」との返事でしたので、「附子」の粉末をさらに加えて飲んでもらい、冷えてお腹が痛くなったら『大建中湯(ダイケンチュウトウ)』を追加して飲んでもらうことにしました。

一ヶ月後、「身体はだいぶ温かくなり、以前にような我慢の出来ない冷えは無くなりました。お腹はほとんど痛くなかったんですけど、前に外に居る時間が長くて、冷えてお腹が痛くなったので、云われたとおり『大建中湯』を飲みましたが、すぐに良くなりましたよ。即効性があるんですね。」との事。

『大建中湯』は、以前も紹介しましたが、イレウス(腸閉塞)対策で有名になった薬なのですが、元々は「お腹の痛みを温めて治す」薬です。つまり「冷えたときの腹痛」が使用するときのキーワードなのです。

若い女性の頑固な冷えは、強力な温薬(オンヤク)の代表選手である「附子」などで一度温めてあげないと、なかなか改善しないようです。つまり、身体が自らを温めることを忘れてしまった状態なのでしょうね。また、現代人の冷えは「水」も関わることが多く、お水の取りすぎも要注意なのです。

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