体外受精の流れについて|北見産婦人科|中村記念愛成病院

不妊症外来

体外受精の流れ|北見産婦人科|中村記念愛成病院

体外受精の流れ

1.質のよい卵を複数育てます(調節卵巣刺激)

育ってきた卵胞が自然に排卵しないよう、点鼻薬を使用し排卵を抑えます。
①long法:採卵前周期の高温期から使用開始 ②shot法:排卵周期の生理開始日から使用開始
その後、複数の卵胞を育てるため排卵誘発剤(注射)を併用していきます。卵胞が複数育ち。ある程度の大きさになったら、排卵の約34時間前にhCG製剤を注射して、卵子の最終的な成熟をうながします。

2.卵子をとり出します(採卵)

静脈麻酔をかけて、経腟超音波画像を見ながら長い針を膣の壁から卵巣内の卵胞に刺し、卵胞液ごと卵子を吸引します。1つの卵胞から卵子を採取できる確率は約70%です。中には卵子が入っていない空っぽの卵胞もあります。また、卵胞が一つだけの時は卵子の採取が困難な場合があります。

卵子をとり出します

3.卵子と精子をひとつに

体外受精の方法には、媒精法と顕微授精法の2種類があります。 全例、院内の採精室(鍵のかかる個室です)にてマスターベーションで精液を採取していただき、培養液で洗浄・濃縮して受精させます。当院ではswim up法にて運動性の高い精子を集めて行います。

①媒精法

精子と卵子を同じ培養液中で培養し、精子の持つ力で自然に受精を行わせる方法です。十分量の精子が必要です。卵子1個につき精子10万匹をふりかけます。

媒精法
メリット デメリット
自然な受精が可能 受精障害があると受精率が低下
②顕微授精法

顕微鏡を見ながら専用の針で卵子の壁を貫通させて、細胞質内に精子を1個注入して人工的に受精させる方法です。

顕微授精法
メリット デメリット
受精障害があっても受精する可能性を高められる 自然下に受精する精子を人が正確に選択する事は不可能

4. 胚(受精卵)を育てます(胚培養)

採卵の翌日に受精確認をした後、さらに胚の培養を続け2~3日目または5~6日目で胚移植します。

胚培養

5. 子宮の中へ戻します(ET/胚移植)

採卵から2日目~3日目の初期胚もしくは、5~6日目の胚盤胞の中から、最も質のよいものを1個(※)選び、カテーテルを使って子宮内にそっとかえし着床してくれる事を期待します。胚移植に選ばれなかった余剰胚があれば、凍結保存をする場合もあります。

※「生殖補助医療の胚移植において、移植する胚または胚盤胞の数は原則1個とする。ただし、女性が35歳以上、あるいは反復不成功例においては2胚移植を許容する。」とされています。
2008年 日本産科婦人科学会のガイドラインより

胚移植

6. 妊娠しやすい環境に(黄体補充療法)

排卵誘発剤を使用した後は黄体機能不全を起こしやすくなります。移植した胚が着床しやすいように、胚移植後妊娠判定までの約2週間、あるいは必要であれば妊娠成立後も黄体ホルモンを投与するなどして、黄体機能を補助します。

7. 無事、着床してくれたかな?(妊娠判定)

胚移植から約2週間後に妊娠判定を行います。胚が着床すると、絨毛(のちに胎盤になる組織)からhCGという成分が分泌され尿中に検出されます。妊娠反応陽性=それは赤ちゃんから「ここにいるよ」というサインなのです。

治療成績について

日本国内における新鮮胚移植による体外受精(媒精法・顕微授精法)の治療成績

媒精法 顕微授精法(SPLIT含む)
採卵あたりの妊娠率 5.8% 4.3%
移植あたりの妊娠率 23.1% 20.3%
移植あたりの生産率 16.6% 14.5%
※2017年 日本産科婦人科学会統計より
※SPLIT:媒精法+顕微授精法