やさしい漢方コラム|北見産婦人科|中村記念愛成病院

やさしい漢方コラム

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更年期の湿疹?


『48歳主婦Mさん。2年程前から手から肘、足首に赤い湿疹が出現し、ひどく痒い。軟膏をつけているがあまり有効ではない。手のひらは赤くゴワゴワした感じになり、恥かしくて人前に出せない。友人に聞いて漢方薬を試したいとの希望で当院に来院。』

「漢方薬で治したい」という場合は他の症状を聞かなければなりません。まず、生理の周期が狂い始めており、1年に5回位に減っており、4ヶ月もあいたときもあります。その代わりに生理痛がひどく、ときどきのぼせて汗が吹き出るし、頭痛・便秘もあるとの事。足の冷えは昔からあり、手足の湿疹は冬の方が多くなるようです。

生理のトラブルもあり、冬に悪化するというので、Mさんにはまず『温清飲(ウンセイイン)』を処方しました。この薬はいろいろな方に使ってよく効いている薬なのですが、いかんせん、とても苦いです。しかしながら、いつもお話するように効く方は案外飲んでくれるのが不思議な点です。

Mさんの場合には飲み始めて2週間で、手足の湿疹は消えました。それと共に、のぼせがずっと楽になったようでした。ところが、そのまま飲み続けていると、胃は重い感じがするとの事。

『温清飲』は『四物湯(シモツトウ)』と『黄連解毒湯(オウレンゲドクトウ)』を合わせた薬で、後者の薬は実証(詳しくは以前の号を)用のかなり強い薬です。Mさんはそれほど実証タイプではありません。

こういう場合は、西洋医学的には胃薬を飲んでもらいながら飲み続けてもらうこともありますが、『温清飲』の『黄連解毒湯』の成分を減らすという手段もあります。 

そこで、『温清飲』をバラして、『四物湯』は通常の量で『黄連解毒湯』は反量に減らしてみました。この方法はうまく決まって、胃の調子は改善されて全体的に体調は良好になりました。漢方薬は生薬を合わせて作られていますから、こういう調整が可能なわけです。

その後は、Mさんの手足の湿疹と更年期障害的な症状は、ほぼ解決していますが、あとは顔のシミを何とかできないかと欲張っています。それには、もう少し時間がかかるのではないかと思います(笑)。 

漢方薬の素材

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