やさしい漢方コラム|北見産婦人科|中村記念愛成病院

やさしい漢方コラム

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漢方薬の副効果(1)


『46歳看護師Mさん。仕事柄、水をよく使うせいか、若いころから手が荒れやすく、水仕事にはいつもゴム手袋を使ってきた。それでも冬の手荒れは指先が割れるほどひどい。数年前から春先になると顔がかゆくなり、赤くカサカサするようになってきた。普段は数個のニキビ状のものが出たり引っ込んだりする。最近、顔以外にも首から胸にかけてカサカサした湿疹が広がり、近医の皮膚科で軟膏を処方してもらい、つけはじめて2週間でよくなったが、しばらくするとまた元の状態に戻ってしまった。皮膚症状以外にも季節の変わり目に、くしゃみ・鼻水が止まらない。最近は「マスクちゃん」と呼ばれる位にマスクを常用している。同僚の看護師に紹介されて漢方薬を試したいとの事で来院。』

Mさんのような「湿疹・手荒れ・アレルギー性鼻炎」には、すぐに症状に応じた漢方薬を処方しがちですが、自覚症状をよく聴いてみると、他にもかなり調子の悪いところがあるようでした。

「あまり食のいい方ではないですね。疲れると口内炎もできやすいし、胃腸は弱いみたいです。とくに疲れがひどいときは下痢をしやすいです。最近は冷え性で頭痛・肩こりはしょっちゅうですよ。」との事。Mさんは、小柄で顔色がよくありません。失礼ですが、全体的に青白い印象なのです。

そこで、まずは『六君子湯(リックンシトウ)』を処方してみて、体力をつけてみることにしてみました。2週間でおなかの調子は良くなったようでしたので、これに加えて「カサカサを潤す」ことを目標に『麦門冬湯(バクモンドウトウ)』を足すと、皮膚の症状にも改善傾向がみられました。

この程度で通常は「よし」としているのですが、Mさんは『六君子湯』を飲んで半年以上経過するのに、体重が増えないし、少し軟便であるのが、私的にはどうも気になったので、『人参湯(ニンジントウ)』に換えてみました。

これが実に効いて「おなかの調子が六君子湯を飲んでいたときよりもさらに調子いいんですよ。不思議なことにアレルギー性鼻炎の症状が変わったことです。鼻水は出るんですけど、くしゃみが出なくてとても楽なんです。」とおっしゃっていました。

このように本来の治療目標とは異なる「漢方薬の副効果」を患者さんがお話して下さるのは、漢方を処方する側にとっては大変楽しみなことです。

漢方薬の素材

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