かぜの考え方と漢方②
前回は、かぜの対応方法はまず現時点での身体の状態が、どのステージにあるかの把握が大切であることと、「かぜの引き始め」にも相当する「表寒」のステージの対応についてお話しました。
かぜは病状の位置が「表」(体表)から「裏」(身体の内部)へ進んでいきますが、途中に「半表半裏」(咽頭や口腔内などの表と裏の中間位置)というステージがあります。これは、症状が「表」からやや内側に移行した状態です。
咳・痰・喉の痛み・胃の不調、そしてこのステージでしか現れない「往来寒熱」(悪寒と熱感が交互に出現すること)が認められることがあります。また「胸脇苦満」と呼ばれる胸から脇にかけての不快感(吐き気などを含む)が出現することもあります。
このステージになりますと、「柴胡(サイコ)」という生薬が治療のカギになりますが、中でも『小柴胡湯(ショウサイコトウ)』はよく用いられる漢方薬です。「喉の痛み・熱感」が強ければ、熱を収める「石膏(セッコウ)」や喉飴などによく含まれている「桔梗(キキョウ)」をこれに加えたりします。
インフルエンザと診断され、抗ウイルス剤などで解熱を得たあと、咳や胃腸の不調が続くことがよくあります。もともと、『小柴胡湯』は感染症がこじれた場面で適応となるケースが多く、このような局面で現れる症状に対応する生薬がバランスよく配合されています。
さて、『小柴胡湯』は「柴胡(サイコ)」や「半夏(ハンゲ)」といった乾かす生薬が含まれていますから、用いる場合には「身体が渇いていない」ということが大前提になります。それでは、渇いていないことの証明はどうすればよいのでしょうか。
それは舌をみて乾燥していないことを確認することでなされます。通常の舌には適度な粘り気がありますが、身体が渇けば舌も乾燥傾向になります。ちなみに「裏」のステージに近づくと、舌には「苔(コケ)」付着するようになります。
舌の状態からは様々な情報が得られますので、東洋医学的診断にはかかせない手技です。風邪のこじれた状態になられた方は、ご自分の舌を一度鏡でご覧になってはいかがでしょうか。
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