やさしい漢方コラム|北見産婦人科|中村記念愛成病院

やさしい漢方コラム

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アレルギー性鼻炎に小青竜湯が効かない?


この季節になるとアレルギー性鼻炎で悩む方も多く、国民病のように云われています。漢方薬では、この分野では『小青竜湯(ショウセイリュウトウ)』(以前に紹介済み)が大変有名で、すでに処方されている方も多いと思います。

しかし、コレで効かない方もいますね。どうしたらいいのでしょうか?効かないのはどうしてなのでしょう?

以前、『小青竜湯』は「表寒」(体表が冷えている)の人向けの薬であることや、五味子(ゴミシ)という生薬がゆるんでいる鼻粘膜を絞める作用があることはお話しました。鼻水が止まらないときは、漢方医学的には大きく二つの面から診ていきます。

鼻水ですから、当然「水」をどう処理するかです。鼻水でも「垂れるのか?詰まって苦しいのか?」で方針は異なります。詰まっているときは『小青竜湯』では無効なことはしばしばあります。こういう場合、辛夷(シンイ)[モクレンのつぼみの一種]という生薬が詰まりを改善する代表選手です。(昔はこのつぼみを鼻の穴につっこんだみたいです)

もう一つは、「寒熱」の考え方ですが、鼻炎のときに「身体が冷えたときに悪化するのか」「鼻の中が熱がこもった感じがして苦しいのか」というように、「冷えるのか熱いのか」で治療も変えなければいけません。

熱感があって苦しいときは、清熱剤が有効なはずで、逆に温める薬では本来の逆のことをしていることになります。『小青竜湯』が効かない中には、このパターンも考えられます。「熱証」の見分け方の方法は以前お話したと思いますが、ご自分で舌を鏡で観て下さい。舌が赤っぽいのが「熱証」、青白っぽいのが「寒証」タイプです。簡便なので参考にして下さいね。

このような考え方があれば、「アレルギー性鼻炎ときたら小青竜湯」といった短絡的な処方はなくなりますし、本来はそうやって処方すべきなのです。ですから、「鼻が詰まって息苦しく、鼻の周りに熱感がある」ときには、「熱証」向けの薬に辛夷が含まれていると効果的かなという発想になりますから、『辛夷清肺湯(シンイセイハイトウ)』などが適応のお薬となるわけです。

アレルギー性鼻炎には漢方医学では「水」「寒熱」から薬をその人の状態に合わせてあげることが大切です。

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