やさしい漢方コラム|北見産婦人科|中村記念愛成病院

やさしい漢方コラム

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春先になると調子が悪い


春も少しずつ近づいてきましたが、今回の症状の人って結構いらっしゃるのでは?

『35歳、Gさん、女性。毎年のことだが春先になると身体の節々が痛くなり、手が腫れたりもする。心配でリウマチの検査をしたが異常なし。どこの病院に行っても異常なしと云われたとの事。』

実は、リウマチ患者でもこの時期になると、検査値が変わらないのに「痛い、腫れる」という訴えをします。別にリウマチが悪化したわけではないのです。

Gさんはリウマチではありませんが、確かにこういう症状は西洋医学的には明確な説明がつきません。リウマチに限らず、関節の症状は春先に悪化することは大昔の古書にも記載があります。つまり、現代人に特有な症状ではないのです。

東洋医学の考え方に『陰(イン)と陽(ヨウ)』というものがあります。この言葉は日常でも使われていますが、季節にもこれが当てはまります。春は冬に隠れていたものが活動的になる時期でいわゆる「陰から陽の変わり目」に相当します。「自然界の陰陽」と私達の「身体の陰陽」の調和がとれないときには体調が崩れやすいのですね。

東洋医学の「陰」は身体の内側、水分、湿気などを、「陽」は身体の外側、熱、発散というように日常の「陰陽」とさほどかけ離れたイメージではありません。春には「陽」が高まる時期ですから、体調が悪い人は本来の「陽」についていけず「陽」が不足した状態になっているのです。ではGさんも「陽を高める」とよい理屈になります。

では、どうしたらいいのでしょうか?一番いい方法は「身体を動かす」ことです。

身体を動かして暖めて汗をかいて発散することが理想です。でもGさんのように身体の節々が痛いのに運動は辛いですね。これを漢方薬で代用するとなると、要は「温める生薬」を使うといいわけです。以前に紹介した「桂枝(ケイシ)」「附子(ブシ)」がその代表選手です。

さらに、手が腫れてむくんでいるのですから、「水をさばく生薬」も含まれていれば最高ですね。で、そういう漢方薬ってあるかいな?ですが、まさにうってつけのが『桂枝加朮附湯(ケイシカジュツブトウ)』です。この薬は以前お話した胃薬セットも含まれている生薬なので、胃を荒らさないし、長期に使いやすい薬です。

早速、Gさんは内服して2週間で「痛みが気にならない程度になった」というので、そのまま4週間飲み続けてもらいました。その後「とても調子良い」とのお話でした。

また、Gさんがそろそろ外来に「薬がほしい」といって来られる頃が近づきましたね。

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